椎間板ヘルニア
椎間板は脊椎と脊椎の間に挟まっている円板状の軟骨です。この椎間板が元の場所から飛び出すことを、椎間板ヘルニアといいます。飛び出した椎間板は脊髄(神経)に触れ障害するため、痛みや、神経麻痺が起こります。重症の場合、自力で歩くことが不可能になります。また、排尿に関わる神経も障害されるため、自力で排尿できなくなることもあります。特にダックスフンドは遺伝的に重症の椎間板ヘルニアになり易いので要注意です。
まず初めに身体検査(神経学的検査)で様々な神経の反応を調べます。
確定的な診断にはMRI検査が適しています。
椎間板ヘルニアのMRI画像(↑が椎間板)
丸で囲んだ部位で、飛び出した椎間板により脊髄(神経)が変形しています。
このケースでは第12と13胸椎間の椎間板が飛び出しています。この場所は胸部と腰部のちょうど境にあたり、椎間板ヘルニアの好発部位です。また、椎間板ヘルニアは首でも胸部、腰部と同様に起こります。
軽度の症状(自力で歩くことが可能、耐えられる程度の痛み)の場合内科療法が選択されます。
まず運動を制限し、安静を保つことが重要です。
さらに投薬としては、ステロイド剤、鎮痛剤が有効です。
軽度であれば、内科療法で十分改善することが多いです。
重度の症状(自力で歩くことが不可能、鎮痛剤で抑えられない激しい痛み)の場合、外科手術が考慮されます。手術では飛び出して脊髄(神経)を障害している椎間板を取り除きます。当院は重症の頸椎、胸腰椎の椎間板ヘルニア手術に対応しています。
当院手術後のCT画像(腰椎)
飛び出した椎間板を取り除くためには、脊柱の壁に穴を開ける必要があります。この穴から脊髄に触れている椎間板を摘出します。
超音波吸引装置
当院では脊椎の壁を削り、穴をあける際、超音波外科用吸引措置を用いています。超音波の特性により脊髄に与えるダメージが少なく、安全性が高いです。
摘出した椎間板
飛び出した椎間板は細かくバラバラに散らばっていることも多いです。これらを残すことなく取り除くことが、手術の成否に関わります。
摘出した椎間板
比較的大きな塊で摘出した椎間板
このようなケースでは術後早期に劇的な改善が見られることがあります。
椎間板ヘルニアによる神経障害(麻痺)は重度の場合、突然発症し、急速に進行します。治療は早く開始した方が、効果が高まります。重度の脊髄障害(麻痺)になってからの時間経過が長すぎると治療は困難になります。一方早期に適切な治療をすれば、自力で立てない重症の椎間板ヘルニアでも、約90%の確率で自力で歩ける様になります。
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