橈尺骨骨折
犬の橈骨・尺骨は前腕部の2本の骨で、肩甲骨、上腕骨とともに前足を形成する非常に重要な骨です。特に小型犬の橈骨・尺骨は非常に細いため、少しの衝撃でも骨折することがあり注意が必要です。
このページでは、犬の橈尺骨骨折の原因や症状、治療法などについて解説します。
小型犬 、特にトイプードル、ポメラニアン、チワワ、イタリアングレイハウンドなどの生まれつき骨が細い犬は橈骨・尺骨が非常に細く、日常的な動作で骨折を引き起すことがあります。
橈尺骨骨折の原因として多いのは、抱っこの時に落としてしまう、ソファ、椅子などの高い場所から飛び降りる、階段から落ちる、柵に足を引っ掛けてしまうなどです。
また、子犬の時期や成長期(小型犬は6ヶ月齢〜10ヶ月齢ごろまで)は、骨の強度が十分ではないため橈尺骨骨折が多く発生します。
橈尺骨骨折の症状は、骨折した瞬間にキャンと鳴き激しく痛がる、前足に触られると痛がる、歩行時に患肢を地面につけなくなる、ケンケン歩きをするなどが挙げられます。
他にも、骨折後は患部が大きく腫れ、熱をもちます。骨折は強い痛みを感じるため、元気や食欲が低下することもあります。
・問診:骨折の原因になり得る事故があったかどうかを確認します。
・視診:院内で歩く様子を観察します。骨折していれば前足をかばいます。
・触診:前腕部の痛みや変形、動揺を触知します。
その後、レントゲン検査を実施し、橈骨や尺骨が折れている箇所を確認することで診断します。
交通事故などの強い衝撃によって粉砕骨折をしている場合や、元々変形のある骨の骨折の場合は、追加でCT検査を行うこともあります。
橈尺骨骨折の治療では、包帯やギプスを用いる方法、手術で骨折した箇所を固定する方法があります。
創外固定手術をしたレントゲン
体の外から骨に細いピンを複数刺し込みます。
それらを硬化材料で束ね固定します。
手術後の外観
この状態で通常通り歩けます。
骨折が治れば固定は全て除去します。
当院の手術では主に創外固定法を採用しています。創外固定法は骨への侵襲が少なく血液供給を温存できるため骨折の治りが良く、超小型犬の骨折にも適用可能です。
また、骨折治癒後に固定を取り除くのが容易、質の良い丈夫な骨に回復させ易い、手術費用を比較的抑えられる等のメリットがあります。
しかし、術後骨折が癒合するまでの数ヶ月は包帯の交換や傷口の消毒、骨の状態の確認などのために通院する必要があります。
固定は骨折が治ればすべて取り除き、体内に一切の人工物を残しません。
骨折が治り固定を取り除くまでの期間は、犬の年齢(若い方が早い)、骨の折れ方によって幅がありますが、早ければ4週間、長いと6カ月近くを要します。
橈尺骨骨折の予防は、骨折の原因となるような事故を未然に防ぐことが何よりも重要です。
ソファなどの下に柔らかいクッションを敷いておく、またはスロープや小さな階段を用意する、犬が高い場所に飛びうつれないように家具の配置を工夫する、階段に落下防止柵を設置するなどの対策を行いましょう。
橈尺骨骨折は、ほとんどが自宅内の事故が原因で発生します。普段から自宅内の家具の配置に気を配ったり、抱っこの際は落とさないよう注意をすることはもちろん、降ろすときはすべての足が地面についた状態で手を離すなど少しの工夫で橈尺骨骨折を未然に防ぐことができます。
愛犬の歩行の様子に異変を感じたり、足を痛がる様子が見られたりしたらすぐに獣医師にご相談ください。
兵庫県尼崎市と伊丹市との境目、塚口にある動物病院 「しろうま動物病院」
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