尿路結石症

犬の尿路結石症について|尿路に結石ができる

犬の尿路結石症とは、様々な原因で尿路 (腎臓〜尿管〜膀胱〜尿道の一連の通り道)のどこかに結石ができることをいいます。特に、膀胱に結石ができやすいことが知られています
尿は腎臓で作られ、体内の水分量を一定に保つことや、体内の老廃物(尿毒素)を排泄する、体内のナトリウム、カリウムなどの電解質の濃度を調整するなどの重要な役割があります。そのため、尿路結石により尿の排泄が妨げられると、様々な全身症状が現れます。

このページでは、犬の尿路結石症の原因や症状、治療法などを解説します。

原因

犬の尿路結石症の原因は様々ありますが、その中でも尿のpHが重要です。
通常、犬の尿のpHは5〜7 (pH7が中性、数字が小さくなるほど酸性で大きくなるほどアルカリ性)程度ですが、人間の食事などの不適切な食べ物を与えることで尿のpHが酸性やアルカリ性に傾き、結石が形成されます。

代表的な犬の尿路結石として以下の二種類があります。

・シュウ酸カルシウム

尿のpHが酸性に傾くと形成され、体質と食事の組成が大きく関わっています。食事療法によって尿をアルカリ化しても溶けないため、外科手術で取り除く必要があります。

・リン酸アンモニウムマグネシウム (ストルバイト)

尿路(膀胱、腎臓)への細菌感染(ウレアーゼ産生細菌)が原因で形成されます。ウレアーゼ産生細菌感染の感染による組織の炎症と尿のpHがアルカリに傾くことが大きく関与していると言われています

アルカリに傾いた尿を酸性化することで溶かすことが可能で、大きさによっては手術をせずに食事療法と抗生物質投与のみでの治療が可能なこともあります。
大きさや、数によっては、手術が選択されます。

その他の原因として、トイレを我慢したり水を飲む量が減ったりすると尿が濃縮され、結石ができやすくなります
また、肥満や運動不足も結石ができやすくなる原因の一つであるため、生活習慣にも注意しましょう。

症状

尿路結石症では膀胱炎を引き起こすことが多いので、頻尿や排尿時のしぶり、血尿、いつもと違うところで排尿するなどの症状が見られます。

結石の大きさや場所によっては、尿の通り道が完全に詰まってしまい (尿路閉塞、オス犬の尿道結石で多い)、ぐったりして動けなくない、吐き気などの尿毒症に陥ることもあります。

診断方法

・尿検査

ご自宅で採取した尿や膀胱に針を刺して採取した尿を検査します。尿量や尿色、尿比重、pH、尿蛋白、潜血、結晶、細菌感染等を調べます。

・レントゲン検査

膀胱と尿道に結石がある雄犬のレントゲン
レントゲン検査では尿路のどこに結石があるかを確認します。このケースでは、膀胱で作られた膀胱結石が尿道に流れ、詰まってしまい、排尿が出来なくなっています。そのため膀胱が過度に拡張しています。雄犬は尿道が細く長いため結石による尿道閉塞が起こり易いです。雌犬では、尿道が太く短いため結石による閉塞はまれです。結石はある程度の大きさであればレントゲン上で白く映りますが、結石が小さい場合や尿酸アンモニウム結石の場合は映らないことがあります。

・腹部エコー検査

レントゲンでは見つけることができなかった小さい結石でも発見できたり、腎盂や尿管の拡張といった尿路結石症における重要な所見を確認することができます。

・血液検査

全身状態や腎不全の有無などを評価するために血液検査を行います。特にBUN (尿素窒素)、Cre (クレアチニン)の項目が重要です。

治療方法

尿路結石症の治療は、大きく分けて以下の3つがあります。

・食事療法

尿路結石症の療法食に切り替えて尿のpHを改善します。

・内科療法

細菌感染が見られる場合は抗生物質を投与したり、尿のpHを変化させる薬の投与、水分摂取量を増やして尿量を増やすことで結石の形成を抑制します。

・外科療法

尿道結石の場合や緊急性が高い場合、シュウ酸カルシウムの場合、結石のサイズが大きくて食事療法では溶かすことが困難な場合などは手術の適応となります。

膀胱結石の場合は、膀胱を切開して結石を取り出します。また、尿道結石の場合は手術前に、尿道内の結石をカテーテルなどで膀胱内へ押し戻してから膀胱切開を行って取り出すことがほとんどです。大小の結石が複数存在しているケースも多く、残さず摘出します。

摘出したリン酸アンモニウムマグネシウム
(ストルバイト)結石

摘出したシュウ酸カルシウム結石

予防法やご家庭での注意点

尿路結石症の予防には、食生活の適切な管理が必要です。具体的には、栄養バランスの良いフードを使うことや、尿石症予防に対応した療法食にすることで結石の予防につながります。

また、日頃から水分を十分に与え、トイレを我慢させないことなどが重要です。結石を作らせないために、獣医師の指示に従って食事や生活環境をしっかりと整えていくことが大切です。

まとめ

尿路結石症は全ての犬種、年齢で発症する可能性があるため、日頃から尿検査や血液検査を含めた健康診断を定期的に受けることをお勧めします。

また普段から犬の尿の状態や排尿時の様子を注意深く観察し、血尿や頻尿などの異常に気づいたら様子見をせずにすぐに動物病院を受診してください。

兵庫県尼崎市と伊丹市との境目、塚口にある動物病院 「しろうま動物病院」
病院案内はこちらから

pagetop

このページの先頭へ

Copyright © しろうま動物病院  Shirouma Animal Hospital All Rights Reserved.