くしゃみと鼻水
犬や猫の「くしゅん!」や「ブーブー」といった音に驚くことはありませんか?
動物のくしゃみや“逆くしゃみ”はほんの一瞬でおさまることもありますが、繰り返す場合には何らかの原因が隠れていることがあります。
くしゃみや鼻水は単なる生理現象に思えますが、実際には感染症や鼻炎などのサインであることも少なくありません。
この記事では、「生理的なくしゃみ」と「病的なくしゃみ」の違い、そして早期発見のポイントを、獣医師の視点から分かりやすく解説します。
犬や猫が1日に1〜2回のくしゃみをするのは、鼻に入り込んだホコリや花粉、匂いの刺激を外へ追い出すための自然な反応です。これは「生理的なくしゃみ」と言えます。
しかし、次のような状態が続くときは「病的なくしゃみ」を疑いましょう。
・くしゃみを何度も繰り返す
・鼻水が止まらない
・元気や食欲がない
・くしゃみのたびに顔を気にする
鼻水の色や粘り気は、体の異変を知る大切なサインです。
・透明でサラサラとした鼻水:軽い刺激やアレルギー反応、初期の感染症など
・白濁や粘り気のある鼻水:細菌感染や炎症の進行
・黄色〜黄緑色の鼻水で不快な臭いを伴う鼻水:膿を伴う強い細菌感染(副鼻腔炎など)
・血が混じる鼻水:異物や鼻腔内腫瘍の可能性を考慮する必要がある
透明な鼻水であれば一過性の場合もありますが、色やにおいがある鼻水が数日以上続く場合は早めに動物病院を受診しましょう。
犬や猫のくしゃみや鼻水には、さまざまな原因があります。
一時的な刺激によるものから、治療が必要な病気まで幅広いため、症状の背景を知ることが大切です。
犬猫のくしゃみや鼻水の原因として最も多いのが感染症です。
細菌性の鼻炎(主にボルデテラ属菌)や、ウイルス感染(犬パラインフルエンザウイルス、犬アデノウイルス2型など)がよく見られます。
くしゃみ・鼻水・咳・発熱など、複数の症状が同時に現れることもあります。
猫風邪(ヘルペスウイルス、カリシウイルスなど)が圧倒的に多く、鼻水やくしゃみに加え、目やに、口内炎、食欲不振、元気がなくなるといった犬とは異なる全身症状が見られます。
院長の長年の経験からも「くしゃみの原因の多くは感染症に由来する」と考えています。
初期段階で治療を始めることで回復が早まるため、早めの受診を心がけてくださいね。
猫のウイルス性鼻気管炎についてはこちらで解説しています
猫の感染症についてはこちらで解説しています
草の穂やホコリ、小さな砂粒、食べ物などが鼻の奥に入り込むと、反射的にくしゃみが出ます。
特に散歩中に草むらへ顔を近づける犬ではよく見られるケースです。
片方の鼻だけから鼻水が出ている場合や、鼻をしきりに気にしているときは、異物が入り込んでいる可能性があります。
犬や猫でもアレルギー性鼻炎は起こりますが、ヒトほど頻度は高くありません。
ハウスダストや花粉、タバコの煙などが刺激となり、透明な鼻水や連続するくしゃみが見られることがあります。
見落とされやすい原因のひとつが、歯周病による鼻炎です。
上奥歯の根元近くに鼻腔があるため、歯周病の炎症が鼻腔内まで広がると、鼻水やくしゃみを引き起こすことがあります。
歯周病についてはこちらで解説しています
犬でよく見られる「ブーブー」「ガーガー」といった音を伴う呼吸を聞いたことは多いと思います。
これは“逆くしゃみ”と呼ばれる現象です。
一見呼吸が苦しそうに見えますが、実は一時的な咽頭のけいれんによって起こるもので、
多くの場合は病気ではありません。
短頭種(パグ、フレブル、シーズーなど)や小型犬でよく見られ、基本的に数十秒程度でおさまることがほとんどです。
ただし、「発作の頻度が多い」「1分以上続く」「呼吸が苦しそうに見える」といった場合は、気道や心臓の疾患が関係している可能性もあります。気になるようであれば動物病院へご相談ください。
次のような症状が見られる場合は、「ただのくしゃみ」と思わず、早めに受診をおすすめします。
・くしゃみや鼻水が2~3日続いている
・鼻水が膿のように濁っている、または血が混じる
・食欲が落ちて元気がない
・猫で、目やに・鼻水・くしゃみが同時に出ている(典型的な猫風邪の症状です)
猫風邪は放置すると慢性鼻炎に移行することがあり、長期間にわたって鼻づまりが残るケースもあります。
「少し様子を見よう」と思わず、症状が出始めた段階で受診することが、早期回復につながります。
しろうま動物病院では、くしゃみ・鼻水の原因を正確に特定するための検査体制を整えています。
・身体検査・血液検査:全身状態や炎症の有無を確認
・画像検査(レントゲン・CT):副鼻腔や歯の異常、腫瘍の有無を確認
・内視鏡検査:細いファイバースコープで鼻腔内を直接観察し、異物の確認や採取、炎症の範囲を評価
鼻炎やくしゃみの診断において、内視鏡検査を実施できる動物病院は多くありません。
当院ではこうした検査を行うことで、原因をより正確に見極め、最適な治療へとつなげています。
治療方法は原因によってアプローチを変えています。原因に応じた的確な検査と治療で、できるだけ早く呼吸の快適さを取り戻すことを目指します。
・感染症 → 抗菌薬・抗ウイルス薬・点鼻治療を組み合わせて行う
・アレルギー性 → 抗ヒスタミン薬の投与や生活環境の改善
・異物 → 内視鏡による除去
・歯周病 → 歯科処置や抜歯
鼻血が見られる場合や、片側だけに症状が偏っているときには、鼻腔内に腫瘍がある可能性も考慮します。
鼻腔内腫瘍などで放射線治療が必要な場合には、専門施設への紹介も対応しています。
「くしゅん!」という一度きりのくしゃみであれば、心配はいりません。
しかし、止まらないくしゃみや鼻水には、必ず何らかの原因があります。
“逆くしゃみ”のように一過性で問題のないケースもありますが、感染症や炎症が関係している場合、そのままにしておくと慢性化し、治療が長引くこともあります。
早めの受診が、犬や猫の健康を守るいちばんの近道です。
「なんだか様子がおかしい」と感じたら、迷わずご相談ください。
しろうま動物病院では、原因の特定から治療、そして日常のケアまでを丁寧にサポートいたします。
■関連する病気はこちらで解説しています
・犬と猫の咳と呼吸の異常について|喉、肺、心臓、感染症など
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