足の骨折

後足の骨折|歩けない・足を浮かせる

犬や猫の骨折には様々なケースがありますが、ここでは、後足を支える大切な骨である「脛骨(けいこつ)」や「大腿骨(だいたいこつ)」の骨折について紹介します。
なお、脛骨は「すね」、大腿骨は「太もも」の骨です。

脛骨と大腿骨骨折は、自然に治ることが難しいうえ、放っておくと歩行に支障が残る恐れもあるため、適切な対応がとても大切です。

このページでは、脛骨・大腿骨の骨折の主な原因や、症状の見分け方、治療の選択肢、さらに日常生活でできる予防のポイントについて解説します。

脛骨骨折・大腿骨骨折が起こる主な原因

脛骨(けいこつ)や大腿骨(だいたいこつ)の骨折は、外からの強い衝撃や足への不自然な力によって起こります。
特に多いのは、以下のような日常生活での事故です。

ジャンプや落下の失敗による骨折

以下のようなケースは、特に小型犬や猫によく見られます。

・ソファやベッドから飛び降りた際に着地を失敗する
・階段の上り下りで足を踏み外す
・キャットタワーから落ちてしまう
・抱っこ中に暴れて飼い主様の手から滑り落ちる

交通事故による骨折

屋外に出る機会のある犬や猫の場合は、車との接触による骨折にも注意が必要です。
ただし、完全室内飼いが増えてきた近年では、交通事故による骨折は以前よりも少なくなっています。

成長期に多い「骨端板骨折」

生後6か月〜1歳未満の若い犬や猫に多いのが、「骨端板(こったんばん)骨折」です。
これは、大腿骨と脛骨先端にある成長軟骨(骨端板)が損傷するタイプの骨折で、少しの衝撃でも骨が折れてしまうことがあるため注意が必要です。
成長中の骨はまだ柔らかく脆いため、無理なジャンプや着地の衝撃でも骨折につながることがあります。

<骨の構造による特徴的なリスク>

脛骨と大腿骨は、どちらも「長幹骨(ちょうかんこつ)」という細長い管状の骨で、内部には「骨髄腔(こつずいくう)」という空洞があり、骨折の治療方法を選ぶうえで重要なポイントになります。
例えば、骨の中にピンを通して固定する方法(髄内ピン固定)や、外側からプレートを当てて固定する方法など、骨の形に適した治療法が必要です。

見逃してはいけない症状のサイン

骨折は、必ずしも外見だけでわかるとは限りません。腫れや変形が目立たない場合でも、行動や様子の変化が“最初のサイン”となることが多いです。
以下のような様子が見られたら、骨折を疑って早めに動物病院を受診しましょう。

・折れた足をかばうように歩く(跛行)
・足を地面につけず、浮かせたままにしている
・三本足で歩こうとする(患っている足を使わない)
・痛い部分に触れようとすると嫌がる、鳴く、怒る
・足を異常に舐める、浮かせたままじっとしている
・元気がなくなる、食欲が落ちる、隠れたがる、などの全身症状

<放置するとどうなる?脛骨と大腿骨の注意点>

脛骨は血流が少ないため、自然治癒が難しい骨とされています。放置すると骨がずれたまま癒着してしまい、将来的に歩きづらくなるリスクがあります。
一方、大腿骨は後ろ足で体重を支えるもっとも大事な骨のひとつです。そのため、大腿骨が折れてしまうと、歩くこと自体が難しくなることも少なくありません。

さらに、受傷から時間が経つにつれて、骨同士が不自然な位置でくっついたり、筋肉が固まって動きにくくなったりするなど、治療が複雑になりやすくなります。

当院での診断と治療方法

犬や猫が骨折しているかどうかを正確に判断するためには、まずレントゲン検査(X線検査)が欠かせません。
骨のズレや折れ方、位置関係を詳しく確認することで、適切な治療計画を立てることができます。

また、骨折の場所や状態によっては、より詳細な情報を得るためにCT検査を行うこともあります。これにより、骨の立体的な構造や、まわりの組織への影響も把握しやすくなります。

<当院での代表的な治療法|髄内ピン単独、創外固定単独、髄内ピンと創外固定の併用>

脛骨や大腿骨のような「長幹骨(ちょうかんこつ)」の骨折に対しては、髄内ピン法(ずいピンほう)という治療が効果的です。骨の内部はトンネル状の中空(髄腔)になっているのは良く知られていると思います。

髄内ピン法では、骨の髄腔に金属製のピン(髄内ピン)をまっすぐ通して、骨折部分を内側からしっかりと固定します。
さらに、創外固定(そうがいこてい)と呼ばれる、皮膚の外から骨を支える器具を併用することもあります。これにより固定の安定性が高まり、骨がずれて動いてしまうのを防ぐことができます。
この治療法には以下のようなメリットがあります。

骨がずれにくく、高い安定性:内側(髄内ピン)と外側(創外固定)の両方から支えることで、しっかり固定できます。

回復が早い:安定した固定により、骨が順調にくっつきやすくなります。

体への負担が比較的少ない:切開が小さくて済み、術後のケアもしやすくなります。

骨折の種類や状態、愛犬・愛猫の体格や年齢などによって、治療法は一頭一頭異なります。当院では、事前の検査と診断を丁寧に行い、それぞれに合った最適な治療を選択しています。

その他の治療選択肢

当院では、骨折の状態や動物の年齢・体格・性格などを考慮しながら、以下のような治療法にも対応しています。

プレート法

骨の表面に金属製のプレートを当て、ネジで固定する方法です。しっかりとした固定が可能で、骨の位置を正確に保つ必要がある場合に適しています。

スクリュー固定

骨片をネジ(スクリュー)で直接止める方法です。小さな骨折や補助的な処置として使われることが多いです。

外固定(ギプス・包帯など)

手術をせずに、ギプスや包帯で固定する方法です。主に軽度の脛骨骨折で用いられることがありますが、大腿骨の骨折には適していません。

それぞれの方法にはメリット・デメリットがありますが、当院では動物の年齢・体格・活動量・生活環境などを考慮して最適な治療法を提案いたします。

<手術・入院の目安>

手術時間1〜3時間程度(骨折の部位・程度によって異なります)
入院期間:通常3〜7日ほど(術後の経過を見ながら調整)
抜糸・再診:術後10〜14日で抜糸、その後は1か月ごとの経過観察をおすすめします

骨折を防ぐために|飼い主様ができる予防と工夫

犬や猫の骨折は、ちょっとした不注意や環境の中で起こることが少なくありません。
しかし、住まいや日常生活を少し見直すだけで、多くの骨折事故は防ぐことができます。

<高い場所からの落下を防ぐ工夫>

・ソファやベッドには、ペット用スロープや階段を設置して飛び降りを防止
・フローリングなど硬い床には、クッションマットを敷いて衝撃をやわらげる
階段や吹き抜けにはベビーゲートを取りつけて転落防止
・ベランダや窓の隙間はしっかりガード(猫が飛び出して落下する事故も多数)
・キャットタワーは安定性の高い製品を選び、倒れにくいように設置する

また、床材を滑りにくい素材に変えるだけでも、転倒による骨折や関節の負担を減らす効果があります。

<日頃の健康管理も予防につながります>

・筋力を維持するために、年齢や体格に合わせた適度な運動を取り入れる
肥満を予防する(体重が重いと、骨や関節への負担が大きくなります)
・飛び乗り・飛び降りの習慣を減らすために、抱き上げる習慣やしつけも効果的です

こうした取り組みは、足の骨折だけでなく、椎間板ヘルニアや関節炎といった整形外科のトラブルの予防にもつながります。

まとめ

脛骨や大腿骨の骨折は、将来的な生活の質にも大きな影響を与える重大なケガです。
だからこそ、早めに気づいてあげること、そして適切な治療を受けさせてあげることがとても大切です。

当院では、髄内ピンと創外固定を併用した整形外科手術を行っており、難治性の骨折や再骨折などにも多数対応しております。
もし「歩き方がいつもと違う」「足を浮かせている」など、少しでも気になる様子が見られた場合はお早めにご相談ください。

兵庫県尼崎市と伊丹市との境目、塚口にある動物病院 「しろうま動物病院」
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