嘔吐や下痢

犬や猫の嘔吐や下痢の原因は?|一般的な原因、特殊な原因

愛犬や愛猫が急に嘔吐や下痢をしてしまうと、飼い主様としてはとても心配になりますよね。「このまま元気がなくなったらどうしよう」「何か悪いものを食べたのかも」と不安に感じることもあるかもしれません。
嘔吐や下痢は、時には大きな健康トラブルのサインになることもあります。

このページでは、犬と猫の嘔吐と下痢について、その原因と対処法を詳しく解説していきます。

嘔吐や下痢の主な原因

犬や猫が嘔吐や下痢をする原因は、さまざまなものが考えられます。
場合によっては、はっきりした原因が特定できないこともありますが、ここではよく見られる主な原因をご紹介します。

<消化器系の問題>

食べ過ぎや消化不良がよくある原因です。
犬や猫は好奇心から思わぬものを口にしてしまうことがあり、そうした物が胃や腸に負担をかけると、嘔吐や下痢につながることがあります。

<感染症(ウイルス・細菌・寄生虫)>

ウイルス性の病気や寄生虫の感染も、嘔吐や下痢を引き起こす原因になります。
特に免疫力がまだ十分ではない子犬や子猫は感染症にかかりやすく、嘔吐や下痢が重くなることが少なくありません。

<その他の原因(ストレス)>

引っ越しや環境の変化、トリミング、動物病院への通院など、普段と違う状況がストレスとなり、消化器系の症状が現れることがあります。

嘔吐の種類と気をつけたいサイン

嘔吐と一言で言っても、いろいろなタイプがあり、それによって対処法も異なります。ここでは、嘔吐の種類と注意すべきサインについてお伝えします。

<急性嘔吐と慢性嘔吐>

急性嘔吐は突然起こるもので、食べ過ぎや異物を飲み込んだことによる一時的な症状であることが多いです。
一方、慢性嘔吐は数日から数週間にわたって続くもので、消化器系の慢性疾患が疑われます。

<単発の嘔吐と繰り返しの嘔吐>

1回だけの嘔吐は、消化不良など軽い原因であることも多いですが、何度も嘔吐が続く場合は、深刻な問題が隠れていることがあります。

<特に注意を要する、嘔吐を伴う病気>

犬や猫が嘔吐する原因はさまざまですが、なかには緊急の対応が必要となる病気もあります。以下のような症状が見られた場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

膵炎
膵臓に炎症が起こる病気で、繰り返す嘔吐や強い腹痛、食欲の低下や元気がなくなるなどの症状が見られます。

腸閉塞
おもちゃや異物を飲み込んで腸が詰まることで起こります。嘔吐物が便のようなにおいを伴うのが特徴で、急激な腹痛や食欲不振、排便の異常なども見られます。緊急手術が必要になることもあります。

腎臓病
腎臓の機能が低下すると、体内に尿毒素が溜まり、吐き気や嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状が出ます。

尿石症
尿路に石ができる病気で、排尿時の痛みや血尿、尿毒症になると嘔吐を伴うことがあります。

胆嚢疾患
胆嚢に炎症や結石、粘液がたまる病気で、胆管が閉塞すると急性に食欲不振や嘔吐、元気がない、黄疸(目や皮膚が黄色くなる)などの症状が見られます。

下痢の種類と気をつけたいサイン

犬や猫が下痢をしてしまったとき、その症状の現れ方にはいくつかのタイプがあります。以下に、主なタイプをご紹介します。

<急性下痢と慢性下痢>

急性下痢は短期間で突然起こるもので、ストレスや食事の急な変化が原因になることが多いです。
一方、慢性下痢は3週間以上続くもので、消化器系の病気や寄生虫、腫瘍などが関係している可能性があります。

<軽度の下痢と重度の下痢>

軽度の下痢は一時的で、健康に大きな影響を与えることは少ないですが、重度の下痢は脱水を引き起こす危険があります。
特に、子犬や子猫の場合、重度の下痢は命に関わることもあるため、注意が必要です。

<特に注意を要する、下痢を伴う特殊な病気>

犬や猫の下痢はよくある症状のひとつですが、中には深刻な病気のサインとして現れることもあります。特に以下のような病気が疑われる場合は、早めの受診が大切です。

消化管寄生虫感染
回虫や鉤虫(こうちゅう)、コクシジウム、ジアルジアなど、腸内に寄生する虫が原因で起こる下痢です。
水のような下痢や血便、粘液便が見られ、特に子犬や子猫では重症化しやすいため注意が必要です。

膵炎
膵臓に炎症が起こることで、下痢が見られることがあります。
下痢のほかに嘔吐や食欲不振、元気の低下などが同時に現れることが多く、慢性化すると体重減少なども伴います。

・炎症性腸疾患(IBD)
腸の中で慢性的な炎症が起きる病気で、長引く軟便や下痢、血便、食欲のむら、体重減少などが見られます。
原因ははっきりしていないことも多く、食物アレルギーや免疫の異常が関係していると考えられています。

・腸リンパ腫
消化管にできる悪性腫瘍の一種で、慢性的な下痢や嘔吐、急激な体重減少、元気消失などが見られます。
高齢の犬や猫に多く見られ、症状が進行すると食欲も落ち、全身状態が悪化します。

診断方法

嘔吐や下痢の原因を正確に診断するために、以下の検査を行います。

問診
まず、飼い主様からの情報がとても重要です。嘔吐や下痢が始まったタイミングやその頻度、何を食べたか、また最近の生活環境に変化があったかなどを、できる限り詳しく獣医師にお伝えください。

身体検査
触診や視診を行い、体の様子を確認します。外から見える異常や触れて感じられる異常がないかをチェックします。

<各種検査>

さらに、必要に応じて以下のような検査を行います。

血液検査:臓器の働きや炎症の有無を確認するための大切な検査です。

便検査:寄生虫や感染症が原因になっていないかを調べます。

レントゲン:異物や腫瘍、腹水があるかどうか、また消化器の状態を確認します。

・エコー(超音波検査):臓器の詳しい構造や動き、腫瘍の有無、腸の動きや液体の溜まり具合などを観察します。特にお腹の状態を詳しく知るために役立つ検査です。

一般的な共通した治療

嘔吐や下痢が続くと体は必要な水分や電解質を失い、脱水状態に陥ることがあります。このような場合、支持療法として点滴を使用し、不足した水分や電解質を補うことが重要です。点滴は脱水症状や電解質のバランスを整えるために行われ、体力の回復をサポートします。
また、対症療法として抗生剤や下痢止め、嘔吐止めが処方されることもあります。
自己判断で人間用の市販薬を与えることは、絶対に避けてください。かえって症状が悪化する恐れがあります。

胃腸を休めるために、食事を控えることが非常に大切です。嘔吐や下痢をしている状態で焦って食べ物を与えてしまう飼い主様もいらっしゃいますが、症状が悪化することもあるのでご注意ください。

まずは必ず獣医師の診断を受け、正しい治療を進めることが大切です。

特別な治療

嘔吐や下痢はよくある症状のように見えても、膵炎、炎症性腸疾患、腸閉塞、腎臓病、尿石症、寄生虫感染、胆嚢の病気、消化管リンパ腫などが原因となっている場合は、一般的な対症療法だけでは改善しません

これらの病気は、それぞれ原因や進行のしかたが異なるため、病気に合わせた特別な治療や管理が必要になります。そのため、単なる「下痢止め」や「吐き気止め」で済ませるのではなく、根本的な原因を治す治療をしなければなりません。    

予防法

普段からの健康管理が、愛犬や愛猫の嘔吐や下痢を防ぐためにとても大切です。

まずは、栄養バランスの取れた高品質なフードを与え、食事の量や頻度を急に変えないように気をつけましょう。脂肪分や塩分が多い人間の食べ物やおやつは、健康に悪影響を与えることがあるので、与えないようにしてください。

また、特に症状が見られなくても、定期的に健康診断を受けることが大切です。これにより、消化器系を含めたさまざまな病気の早期発見につながります。

さらに、定期的に駆虫薬を使用し、清潔な環境を保つことも、寄生虫の感染を防ぐためには欠かせないポイントです。

まとめ

愛犬や愛猫の嘔吐や下痢は、さまざまな原因で起こりますが、適切なケアと早めの対応で改善することが多いです。
ただし、症状が長引いたり、重度の嘔吐や下痢が見られたりする場合は、早急な対応が必要です。

時には命に関わることもあるため、少しでも気になる症状が続く場合や、異常が見られた際には、迷わず動物病院へご相談ください。


■消化器に関連する病気はこちらで解説しています
犬の胆嚢疾患について|無症状で進行し突然症状が現れる
犬の膵炎について|嘔吐、下痢、命に関わることもある病気
犬と猫の腸閉塞について|突然の嘔吐、異物誤食に注意
犬と猫の便秘は要注意!|見逃さないためのチェックポイントと対策
犬と猫に多い消化器系寄生虫の種類と予防法|下痢や嘔吐が続いたら要注意

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