中毒
愛犬や愛猫が、日常の中で思わぬものを口にしてしまうことはありませんか?
私たちにとっては何気ない食品や植物でも、犬や猫にとっては命を脅かす危険なものになることがあります。
実は、中毒事故は決して珍しいことではなく、どのご家庭でも起こりうる身近なリスクといえるでしょう。
このページでは、中毒を引き起こす原因や症状の見分け方、そして飼い主様ができる対処法について、分かりやすく解説します。
愛犬や愛猫が日常生活の中で口にしてしまうと、中毒を引き起こす危険があるものは意外と多く存在します。ここでは、特に注意が必要な中毒の原因について詳しくご紹介します。
・風邪薬
・鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェン)
・精神安定剤や睡眠薬
人間用の薬は、犬や猫の体内で適切に代謝されず、強い毒性を示すことがあります。
■具体例:アセトアミノフェン中毒
アセトアミノフェン(市販の風邪薬や解熱鎮痛剤に含まれる成分)を誤って摂取すると、肝障害を引き起こすことがあります。主な症状として、嘔吐、元気消失、呼吸が苦しそうになるなどが見られることがあります。
・チョコレート
・ネギ類(ねぎ、玉ねぎ、ニンニク)
・ブドウ、レーズン
・アルコール
・キシリトール
■ 具体例:チョコレート中毒
チョコレートに含まれるテオブロミンという成分は、犬や猫の心臓や中枢神経に悪影響を及ぼします。
摂取すると嘔吐、興奮、震えなどの症状が現れ、命に関わる危険もあります。特に体重が軽い犬ほど、少量でも中毒を起こしやすいため注意が必要です。
■ 具体例:ネギ中毒
ネギ類(特に玉ねぎやニンニク)を食べると、赤血球が破壊される「溶血性貧血」を引き起こすことがあります。中毒症状は摂取後すぐに現れるわけではなく、1日から数日後に発症することが多いです。
・殺虫剤
・殺鼠剤
・洗剤、漂白剤
・不凍液
■具体例:殺鼠剤中毒
殺鼠剤には血液を固まりにくくする成分が含まれており、誤食すると数時間〜数日後に鼻血や歯茎からの出血が見られることがあります。放置すると出血が止まらず、命に関わる事態に発展する可能性があります。
■具体例:不凍液
不凍液は甘い味がついていることがあり、犬や猫が舐めてしまうと急性腎障害を引き起こす危険があります。
・ユリ科植物(ユリ、チューリップ など)
・アジサイ
・ニラ
■具体例:ユリ科植物による中毒(特に猫)
ユリ科の植物は、猫にとって非常に危険です。花粉を舐めるだけでも急性腎障害を引き起こし、命に関わることがあります。初期症状として食欲不振や嘔吐が見られ、放置すると尿が出なくなるなど、重篤な状態になることもあります。
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中毒の症状は、摂取した物質の種類や量、愛犬や愛猫の体重・体質によって異なります。しかし、どの場合もできるだけ早く動物病院に相談することが大切です。時間が経つほど症状が悪化し、治療が難しくなる可能性があります。
・けいれん、震え
・大量のよだれ
・血便や血尿
・元気がなく、ぐったりしている
・呼吸が苦しそう(呼吸困難)
・ふらつく、歩けない(歩行困難)
中毒物質をすぐに口から取り除けた場合や、ほんの少ししか食べていない場合でも、注意が必要です。
特に、チョコレート、キシリトール、ユリ科の植物は、ほんの少しの摂取でも重篤な症状を引き起こす危険性があります。摂取が疑われる場合は、症状が出ていなくてもすぐに動物病院へ相談しましょう。
愛犬や愛猫が中毒物を誤って口にしてしまった場合、まずは冷静になることが大切 です。そして、以下の手順に沿って適切に対応し、できるだけ早く動物病院へ相談しましょう。
1.何を、どれくらい食べたのか確認する
誤食したものの種類、量、時刻をできるだけ正確に把握してください。
食べた可能性がある場合は、確証がなくてもすぐに行動しましょう。
2.動物病院に連絡する
症状が出ていなくても、誤食が疑われる場合は迷わず獣医師に相談してください。
誤食から時間が経っていなければ、薬を使って嘔吐を促し、体内から取り除ける可能性があります。しかし、時間が経過して成分が吸収されてしまうと治療が難しくなるため、できるだけ早めに対応することが大切です。
3.自己判断で吐かせない
誤った方法で吐かせると、かえって体調が悪化してしまうことがあります。
特に刺激物(洗剤・アルコールなど)や鋭利なもの(骨・プラスチック片など)を誤飲した場合は、吐かせることで食道を傷つけるリスクがあるため危険です。
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4.動物病院へ向かう
かかりつけの動物病院がある場合は、事前に電話で連絡し、獣医師の指示を仰ぎましょう。
また、夜間や休日に備えて、近くの救急対応が可能な動物病院の連絡先を事前に確認しておくと安心です。
中毒事故を防ぐためには、日頃からの対策が何よりも大切です。
以下のポイントを参考にしながら、愛犬や愛猫が安全に過ごせる環境を整えましょう。
・室内環境を整える
誤飲のリスクがあるもの(食品・薬品・家庭用品など)は、必ず愛犬や愛猫が届かない場所に保管しましょう。
ゴミ箱はフタ付きのものを使用し、いたずらされない構造のものを選んでください。
また、引き出しや棚にしまったつもりでも、犬や猫が開けてしまうことがあります。チャイルドロックなどを活用すると安心です。
・生活習慣を見直す
食事やおやつを与える際は周囲を整理整頓し、誤飲しやすいものを置かないようにしましょう。
家族全員で「中毒の危険物」について知識を共有し、徹底して対策を行うことが大切です。
・季節ごとの注意点
冬場はチョコレートやアルコールを口にする機会が増えるため、バレンタインやクリスマスには特に注意が必要です。
初夏〜夏にかけてはユリ科の植物が多く出回るため、猫のいる家庭では室内に飾らないようにしましょう。
Q.愛犬がチョコレートを食べてしまいました。大丈夫でしょうか?
A.チョコレートは少量でも犬や猫にとって危険な食べ物です。
チョコレートに含まれるテオブロミンという成分が、心臓や神経に悪影響を与え、食べた量によっては命に関わることもあります。
症状が出ていなくても、すぐに動物病院へ相談してください。
適切な治療を受ければ助かる可能性が十分にありますので、まずは落ち着いて対応しましょう。
Q.愛犬がアルコールを舐めてしまい、その後吐きました。もう安心していいですか?
A.いいえ、まだ安心はできません。
アルコールは犬や猫にとってとても危険で、吐いた後でも体内に吸収されている可能性があります。
飲んだ量や種類に関係なく、すぐに動物病院へ連絡して獣医師の指示を仰いでください。
Q.犬が届かない場所に置けば、家でユリを飾っても問題ないですか?
A.おすすめできません。
ユリは猫だけでなく、犬にとっても有害です。花粉を舐めたり、葉や茎をかじったりするだけでも中毒を引き起こす可能性があります。
安全のため、愛犬や愛猫がいるご家庭では、ユリ科の植物は置かないほうがよいでしょう。
Q.昨夜、愛犬が風邪薬を飲み込んでしまったかもしれません。今朝気づいたのですが、もう手遅れですか?
A.時間が経っていても、まだ治療ができる可能性があります。まずはすぐに動物病院へ連絡し、獣医師に相談してください。
風邪薬には犬や猫にとって有害な成分が含まれていることが多く、放置すると症状が悪化することもあります。自己判断せず、できるだけ早く病院へ向かいましょう。
愛犬や愛猫が中毒物を誤って口にしてしまう事故は、どのご家庭でも起こる可能性があります。しかし、日頃から危険なものを遠ざけ、室内環境を整えておけば、多くの事故を防ぐことができます。
もし誤食してしまった場合は、症状がなくてもすぐに動物病院へ相談することが大切 です。季節や生活習慣によって特有のリスクもあるため、日頃から意識して対策をしましょう。
当院では、中毒事故への迅速な対応はもちろん、飼い主様が安心できるよう丁寧にサポートいたします。少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
兵庫県尼崎市と伊丹市との境目、塚口にある動物病院 「しろうま動物病院」
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