脾臓と肝臓の腫瘍

脾臓と肝臓の腫瘍について|お腹の中で大型化することも

愛犬が元気そうに見えても、実は体の中で病気が進行している場合があります。

肝臓腫瘍と脾臓腫瘍は、お腹の中にできる腫瘍ですが、外見からはほとんど異変が分からないため、飼い主様が気づきにくいという特徴があります。その結果、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。

このページでは、「肝臓腫瘍」と「脾臓腫瘍」に焦点を当て、それぞれの特徴や注意点を解説します。

診断方法

肝臓腫瘍、脾臓腫瘍を診断するためには、以下のような方法が有効です。

エコー検査(超音波検査):腫瘍を確認する際の第一選択肢です。肝臓と脾臓は超音波検査で観察するのに適した臓器です。超音波検査により非侵襲的にリアルタイムで脾臓と肝臓の腫瘍の大きさ、場所、内部構造を知ることができます。

レントゲン撮影腫瘍の位置や大きさをおおまかに把握するのに役立ちます。ただし、腫瘍の詳細な内部構造までは確認できません。

CT検査腫瘍の正確な位置や、周囲の臓器との関係性を詳しく確認する際に使用されます。より詳細な画像を得られるため、診断の精度が上がります。

脾臓腫瘍とは?

脾臓腫瘍は、進行しても明確な症状が現れにくい病気です。しかし、腫瘍が破裂してしまうと、突然の出血を引き起こし、命に関わる深刻な状態になることがあります。
この状態を「脾臓破裂」と言い、以下のような症状が見られた場合はすぐに動物病院を受診してください。

・急に元気がなくなる
・口や歯ぐきなどの粘膜が青白くなる
・呼吸が浅く速くなる

<血管肉腫が多い脾臓腫瘍>

脾臓腫瘍の多くは「血管肉腫」と呼ばれる悪性腫瘍で、この腫瘍は血液の通り道を構成する細胞に由来しています。
血管肉腫は血管を破壊するだけでなく、他の臓器に転移して大量の出血を引き起こす可能性があります。進行が非常に早いため、早期発見が何よりも重要です。

<脾臓腫瘍の治療法|脾臓全体の摘出>

脾臓腫瘍が発見された場合、多くのケースで治療法として「脾臓の全摘出術」が選ばれます。この手術では脾臓全体を摘出しますが、脾臓の機能は他の臓器が補えるため、摘出後も通常の生活を送ることができるケースがほとんどです。

ただし、腫瘍が他の臓器に転移している場合には、手術に加えてさらなる治療が必要となることがあります。

肝臓腫瘍とは?

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気が進行しても症状が出にくい臓器です。
実際に、肝臓の約70%が機能を失っても、犬は普段通りの生活を続けることができると言われています。そのため、腫瘍が大きくなるまで気づかれないことが多いのです。

<肝臓腫瘍の症状>

犬の肝臓腫瘍の多くは悪性の「肝臓癌」が多いとされています。腫瘍が進行すると、以下のような症状が現れることがありますので、注意が必要です。

・食欲不振
・嘔吐や下痢
・体重減少
・お腹の膨らみ

<肝臓腫瘍の治療と当院の対応>

肝臓腫瘍の治療は、発見が遅れるほど難しくなる傾向があります。
手術によって腫瘍を取り除く治療が行われる場合もありますが、腫瘍の位置や大きさによっては、手術そのものが困難になるケースも少なくありません。

当院では、こうした複雑な症例に対応するため、必要に応じて二次診療をご紹介しています。CTやMRIを用いた高度な診断や、専門的な手術が可能な施設と連携し、飼い主様と愛犬に最適な治療方法をご提案していますので、安心してご相談ください。

<健康診断による早期発見>

定期的な健康診断にエコー検査を取り入れることで、腹腔内腫瘍を早期に発見できる可能性が高まります。
特に無症状の段階で腫瘍が見つかるケースも多く、高齢犬や腫瘍リスクの高い犬種には積極的に受診することをお勧めします。

早期発見は治療の選択肢を広げ、愛犬の負担を軽減する大切なステップです。ぜひ、定期的な検診を習慣にしてください。

よくある質問(Q&A)

Q.血液検査で腹腔内腫瘍を見つけることはできますか?
A.血液検査だけで腫瘍を直接確認することはできません。ただし、肝機能の異常や貧血の兆候など、腫瘍が体に与える影響を示唆する間接的な情報を得られる場合があります。

腫瘍が疑われる場合には、エコー検査やCT検査などの画像診断を組み合わせることで、より詳しい情報を得ることが可能です。

まとめ

脾臓腫瘍、肝臓腫瘍は、外見からでは症状が分かりにくい厄介な病気ですが、エコー検査やCT検査を含む定期的な健康診断を行うことで、早期発見が可能です。

定期健診と早期診断は、愛犬の健康を守るための大切な鍵です。適切な治療とケアを行うことで、愛犬との健やかな生活を支えることができます。ぜひ、今一度、健康診断のスケジュールを確認し、愛犬が健康で長く元気に過ごせるよう計画を立ててみてください。

兵庫県尼崎市と伊丹市との境目、塚口にある動物病院 「しろうま動物病院」
病院案内はこちらから

pagetop

このページの先頭へ

Copyright © しろうま動物病院  Shirouma Animal Hospital All Rights Reserved.