便秘

犬と猫の便秘|便がいきんでも出づらい

愛犬や愛猫のうんちが出ていない、こんな状況になるととても不安になりますよね。
犬や猫の便秘は一時的なものに見えても、放置すると全身の健康に影響を及ぼすことがあります。また、便秘が何らかの大きな病気のサインであるケースも少なくありません。

このページでは、犬や猫の便秘の原因から具体的な対策、治療法までを、わかりやすく解説していきます。

犬と猫の便秘の違い

犬と猫のどちらも便秘に悩むことがありますが、その発生頻度や特徴には違いがあります。

<犬の便秘>

犬の便秘は、活動量や食事内容に大きく関係します。特に、中〜高齢の犬で発生しやすく、運動不足や水分摂取量の不足が原因となることが多いです。また、骨の多いおやつや消化に負担のかかる食事も便秘を引き起こすことがあります。
犬の便秘は、散歩中に排便を確認しやすいため、飼い主様が早期に気づきやすい傾向にあります。

<猫の便秘>

一方、猫の便秘は、特に高齢になるほど発生頻度が増え、腎臓機能の低下大腸の機能不全が関与することが多いです。慢性腎臓病を持つ猫や、加齢によって腸の動きが鈍くなる猫では、便秘が慢性化するケースも少なくありません。さらに、猫の便秘は初期のサインが非常にわかりにくく、トイレの回数が減る、うんちが硬い、食欲が落ちるなどの兆候を見逃してしまい、進行してから気づくことが多いです。

犬と猫の便秘の主な原因

<犬に多い原因>

腫瘍:特に骨盤内の直腸周辺に腫瘍ができると便の通り道が狭くなり、便秘を引き起こします。

会陰ヘルニア:中高年の未去勢のオス犬によく見られる疾患です。この状態では、直腸が会陰部に脱出して蛇行するため、便が通りにくくなり、排便が困難になります。

<猫に多い原因>

大腸機能低下:特に高齢の猫では、大腸の働きが弱まり、便秘を起こしやすくなります。

腎臓病:慢性腎臓病の猫は、体内の水分が不足しがちになり、便が硬くなることで便秘のリスクが高まります。

腎臓病についてはこちらで解説しています

巨大結腸症:高齢の猫で見られることが多い疾患で、結腸が異常に拡張する病気です。この状態では便が結腸内に滞留し、腸の動きが鈍るため、深刻な便秘につながります。巨大結腸症の原因には、遺伝的な要因、腸の神経系の異常、慢性便秘が関係していると考えられています。

骨盤骨折の後遺症:過去に骨盤を骨折し、変形したまま治癒した場合、骨盤が便の通り道を狭めることがあります。その結果、便がスムーズに排出されず、便秘の原因になることがあります。

犬と猫それぞれに特徴的な便秘の原因があるため、普段からの観察が重要です。

犬と猫の便秘の症状と注意すべきサイン

犬と猫の便秘にはいくつか共通する症状がありますが、動物ごとの行動の違いから、見られる兆候に差が出ることもあります。

<犬によく見られる便秘の症状>

・排便の際に苦しそうにする
排便時に強くいきむ、排便を試みても少量しか出ない、または何も出ない場合、便秘の可能性があります。特に会陰ヘルニアがある場合には、肛門横の皮膚が盛り上がる様子が見られることがあります。

・便の性状の変化
頻繁に排便を試みるものの出ないことが増え、時には粘液や血液が混じることもあります。
また、しこり等が直腸の通りを妨げている場合、便が薄く平らになったり、細く変形することがあります。

<猫によく見られる便秘の症状>

・トイレでの様子に違和感がある
猫がトイレで長時間こもり、排便を試みても出ない、または少量しか出ない場合、便秘が疑われます。さらに、排便を強くいきむことで嘔吐することもあります。

・便の性状の変化
便が硬く乾燥していることが多く、トイレ以外の場所で排便を試みるなど、異常行動として表れることもあります。

・お腹の張りや食欲不振
特に巨大結腸症の場合、便が結腸内に滞留するためお腹が張り、猫が不快感を示します。また、食欲が落ちることもよくあります。
また、便秘が続くことで食欲の低下元気がなくなる場合は、早急に受診を検討してください。放置すると腸閉塞や腸のダメージにつながり、命に関わる可能性もあるため、適切な対応が必要です。

腸閉塞についてはこちらで解説しています

診断方法

動物病院で便秘を診断する際には、以下のような方法が用いられます。

触診
獣医師が直接お腹に触って、腸内に詰まった便の状態や腹部の張り具合を確認します。
また、肛門から指を入れて行う直腸検査では、腸の位置や走行、便の硬さや性状、しこりの有無などを詳しく調べることができます。

レントゲン検査
お腹の中に便がどの程度溜まっているか、また腫瘍や異物がないかを確認するためにレントゲン撮影を行います。

血液検査
内臓疾患が便秘の原因となっていないかを調べるために、血液検査で腎臓や肝臓の機能を確認します。特に、腎臓の異常がある場合は便が硬くなりやすいため、重要な検査です。

治療方法

犬と猫の便秘の治療法は、原因や症状の重さによって異なります。それぞれの状況に応じた治療を行うことで、便秘の解消と再発予防を目指します。

<犬の便秘の治療法>

・食事療法
食物繊維の豊富なフードや便を柔らかくするサプリメントを与え、便の通過を促進します。

・薬物療法
軽度の便秘には、便を柔らかくする薬や腸の動きを促す薬が処方されます。早期に対処することで、悪化を防ぎます。

・外科手術
腸の閉塞会陰ヘルニア消化管腫瘍が原因の場合、外科手術が必要になることがあります。会陰ヘルニアの場合、腸の位置を修正する手術が行われます。

<猫の便秘の治療法>

・食事療法
繊維を多く含む食事は、便秘の治療や予防に効果的です。また、便秘の原因が腎臓病に関連している場合には、腎臓病専用の食事を選ぶことが推奨されます

・内科療法
便を軟化して便通を良くする内服薬(シロップや粉状の薬)の使用が効果的です。
ただし、すでに多量の硬い便が腸内に溜まり、排便困難で苦しんでいる場合には、浣腸で便を軟化させ、指で取り出す処置が必要になります。また、点滴や皮下補液を行うことで体内の水分を補い、便の通過を助けます。

・外科手術
巨大結腸症など、内科的な治療で改善が難しい場合には、手術が選択されることもあります。ただし、多くのケースでは薬や食事療法で管理されることが一般的です。

ご家庭での注意点

愛犬・愛猫の便秘予防には、日々の観察が欠かせません。以下のポイントを意識して、早めに異常に気づき、適切に対処できるように心がけましょう。

・排便の様子を観察する
毎日の排便状況を把握し、スムーズに便が出ているか確認しましょう。排便時に強くいきんでいる、または長時間トイレにいる場合は、便秘のサインかもしれません。

・便の状態に注目する
便の硬さや色、形も重要な観察ポイントです。特に猫では、便が小さく石のように硬くなることがあり、これも便秘の兆候と考えられます。

・水分摂取を促す
便秘を防ぐためには、十分な水分摂取が不可欠です。常に新鮮な水を飲めるようにしてあげましょう。
猫の場合、水をあまり飲まないことが多いため、ウェットフードを与えるのも効果的です。スープ状のおやつや水分の多い食事を取り入れることで、自然に水分量を増やせます。

まとめ

愛犬や愛猫の便秘は、日常的な観察と適切なケアで予防や早期発見が可能です。
便秘の原因は、食事内容や水分不足、ストレス、病気などさまざまですが、早めに気づくことで症状を軽減し、健康的な生活をサポートできます。

便の硬さや排便の様子を日々確認し、異常があれば早めに対応することが大切です。
便秘を放置すると健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、初期段階で動物病院に相談することで、より迅速で効果的な治療が受けられます。
愛犬・愛猫が快適に過ごせるように、気になる症状があれば迷わず獣医師にご相談ください。

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