排尿異常に関わる病気

犬と猫の排尿異常に関わる病気|頻尿、血尿、尿が出ない、尿量の増加

急に愛犬や愛猫のトイレの回数が増えたり、血の混じった尿を見かけたりしたらとても心配になりますよね。

排尿のトラブルは、健康状態の変化を示す大切なサインの一つです。その原因はさまざまで、放置すると深刻な病気につながることもあります。

このページでは、排尿異常の主な症状や原因、飼い主様がとるべき対処法について詳しく解説します。

排尿異常の主な種類と症状

・頻尿
頻繁にトイレに行くものの、出る尿の量が少ない状態です。
これは膀胱炎や尿路感染症でよく見られる症状で、トイレに行く回数が増えるため飼い主様も比較的気づきやすい兆候です。

・排尿痛
トイレで踏ん張っているのに尿が出ない、もしくは痛がっている様子が見られる症状です。猫がトイレに長時間座り続けることが多く、痛みから鳴くことがあります。

・尿閉
尿石などによって尿道が詰まり、尿が全く出なくなってしまう状態は非常に危険です。尿が体外に排泄されないことで尿毒症を引き起こし、命に関わる可能性があるため、緊急の処置が必要です。

・血尿
尿に血が混じる状態で、膀胱炎や尿路結石、尿路腫瘍などが原因として考えられます。血尿は目に見えるため早期発見につながることが多いです。

・多尿
普段よりも尿の量が多くなる状態です。腎臓病副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、糖尿病などの全身性疾患が原因であることが多く、特に水を大量に飲むようになった場合は多尿が疑われます。

・乏尿
尿の量が極端に少なくなる状態です。腎機能が低下している場合や、尿路に問題がある可能性が考えられます。

排尿異常の主な原因

排尿異常にはさまざまな原因が考えられますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

・ 膀胱炎
細菌感染や、猫の場合はストレスが原因で起こり、頻尿や排尿痛を伴います。特に、トイレに頻繁に行く様子や痛がる仕草が見られることがあります。

・ 尿路結石
尿管や膀胱に結石ができると、尿路が詰まったり傷付いたりすることがあります。その結果、排尿困難や血尿が見られることがあります。

犬の尿路結石症についてはこちらで解説しています
猫の尿路結石症についてはこちらで解説しています

・腎臓病
加齢や自己免疫疾患など、さまざまな要因で腎臓の機能が低下します。これにより、尿量の変化や全身の健康状態に影響が出ることがあります。

腎臓病についてはこちらで解説しています

・泌尿器腫瘍
腎臓、膀胱、尿道に腫瘍ができることがあり、頻尿、尿閉、血尿などの症状が現れます。この症状は他の疾患とも似ているため、正確な診断が重要です。

・糖尿病
血糖値が著しく高くなると、多飲多尿の症状が現れます。また、急激な体重減少や食欲の亢進も伴うことがあります。

糖尿病についてはこちらで解説しています

・クッシング症候群
副腎ホルモンが過剰に分泌されることで、多飲多尿の症状が現れます。犬によく見られる病気です。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)についてはこちらで解説しています

診断方法

排尿異常の原因を特定するためには、さまざまな診断方法が用いられます。ここでは代表的な診断方法をご紹介します。

尿検査
尿の成分分析や沈渣の顕微鏡検査によって、出血、感染症の有無や結晶や細菌の存在を確認します。これにより、結石の有無や腎臓の機能状態も評価することができます。
尿検査は、排尿トラブルの原因を突き止めるための基本的な検査です。

血液検査
腎機能や肝機能、血糖値など、全身の健康状態を把握するために行われます。慢性的な疾患や代謝異常が疑われる場合に、早期発見と適切な治療方法を決定するために非常に重要な検査です。

画像診断
レントゲンやエコー検査を使用して、泌尿器系の構造異常や結石の有無を確認します。特にエコー検査は、膀胱や腎臓の内部構造を詳細に確認できるため、結石や腫瘍の検出に非常に有効です。

診察前に飼い主様が確認していただきたいポイントとして、排尿の頻度、量、色、におい、排尿時の様子(痛みや違和感がないか)などが挙げられます。これらの情報は診察時にとても役立ち、正確な診断を行うための大切な手がかりになります。

治療方法

排尿異常の治療は、原因や症状の程度によって異なります。ここでは、主な治療方法についてご紹介します。

<内科的治療>

細菌性膀胱炎などの尿路感染症の場合、抗生物質が処方されることが一般的です。
また結石が原因の場合は、結石を溶かす薬や専用の食事療法が推奨されることがあり、これにより手術を回避できることもあります。

<外科的治療>

結石が大きく、薬や食事療法では改善が見込めない場合には、外科的に結石を取り除く手術が必要です。
また、腫瘍が原因で排尿に支障が出ている場合には、腫瘍を取り除く手術が行われることもあります。

<慢性疾患の場合の長期的な管理>

慢性腎臓病や糖尿病などの慢性疾患に対しては、定期的な検査と薬物治療に加え、食事療法や日々の運動が大切です。
こうした健康的な生活習慣を続けることで、症状の進行を遅らせることが可能です。適切な管理により、病気とうまく付き合いながら生活の質を維持することが期待できます。

家庭でのケアと予防法

日常生活の中で、ちょっとした工夫をするだけで、排尿異常を予防することができます。

まず、犬や猫の水分摂取はとても大切です。十分な水分を摂取することで、尿がスムーズに排出され、泌尿器系の健康維持につながります。常に新鮮な水を用意し、飲みやすい場所に置いておくとよいでしょう。

さらに、泌尿器系に配慮した食事も健康管理に役立ちます。獣医師と相談のうえ、適切なフードを選びましょう。

排尿の様子を日々観察することも欠かせません。頻度や量、色、においなどを注意深く確認し、痛みや違和感がないかも見逃さないようにしましょう。普段から観察しておくことで、異常に早く気づけます。

そして、定期的に健康診断を受けることも大切です。早期発見と適切な治療により、さまざまな病気のリスクを軽減できます。

緊急性の高い症状と対応

以下のような症状が見られた場合は、速やかに動物病院で診察を受ける必要があります。

・完全に尿が出ない(尿閉)
尿が全く出ない状態は非常に危険で、尿道が詰まっている可能性があります。

・血尿
尿に明らかに血が混じっている場合、膀胱炎、尿路結石、または腫瘍などが疑われます。

・頻繁にトイレに行くが、少ししか出ない
トイレに頻繁に行くにもかかわらず少量しか排尿できない場合、結石や膀胱炎が原因である可能性が高いです。痛みや不快感を伴うことが多いため、早急な治療が必要です。

・元気がなく、食欲がない
排尿異常に加えて、元気がない場合や食欲が低下している場合は、全身の体調が悪化している可能性があります。

<緊急時の対応方法>

緊急な状況に直面した際は冷静に対応し、すぐに以下のポイントを確認したうえで、速やかに動物病院に連絡してください。

1,症状の詳細を記録する
いつから症状が現れたか、尿の量や色、排尿時の行動などをメモしておくと、獣医師が迅速に状況を判断できます。

2,診察可能な動物病院に連絡する
症状とその緊急性を伝え、早急に診察が必要であることを伝えます。

3,動物病院の指示に従う
指示を受けたら、その通りに動物病院へ向かいます。特に夜間や休日の場合は、緊急対応が可能な病院を事前に調べておくと安心です。

まとめ

排尿異常は、愛犬や愛猫の健康状態を知る大切なサインです。日頃から排尿の様子をしっかり観察し、少しでも異常を感じたら早めに対処することで、改善できるケースが多くあります。
尿の状態や排尿の仕方を普段からチェックする習慣をつけ、気になることがあれば迷わず動物病院に相談しましょう。

兵庫県尼崎市と伊丹市との境目、塚口にある動物病院 「しろうま動物病院」
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