犬の気管支炎

犬の気管支炎について|「カハッ、カハッ」と吐くような咳が特徴的

気管支とは、気管から左右に分かれ、肺に空気を送るための管状の器官です。気管支はさらに細かく枝分かれし、空気を肺の中に届ける役割を果たしています。

気管支炎は、この気管支に炎症が起こることで、咳や呼吸困難を引き起こす病気です。原因は、感染症やアレルギーなどさまざまで、犬の健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。

このページでは犬の気管支炎の原因や症状、診断、治療法などを詳しく解説します。

原因

犬の気管支炎の原因は多岐にわたります。
まず、感染症が原因の場合、ウイルスや細菌、またはその両方が気管支に感染し、炎症を引き起こします。特に、免疫力が十分に発達していない子犬では、感染症による気管支炎が発生しやすくなります。

また、アレルギーが原因で気管支炎が起こることもあります。例えば、花粉やダニ、タバコの煙などの刺激物が気管支を刺激し、炎症を引き起こすことがあります。
これに加えて、遺伝的な体質や環境要因が影響し、特定の犬種や年齢によって発症しやすくなる場合もあります。

これらの要因が重なると、気管支に炎症が生じて気管支が過敏になることで、咳や呼吸困難といった症状が現れます。
さらに、気管虚脱気管・気管支の変形によって物理的に気管支が刺激され、気管支炎を引き起こすこともあります。

気管虚脱についてはこちらで解説しています

症状

犬の気管支炎の特徴は、乾いた咳が続くことです。この咳は特に運動後や興奮時に悪化することが多く、喉に何かが詰まったような「カハッ、カハッ」という音を伴うことがあります。
犬の咳は嘔吐の様子と似ているため、飼い主様がこの咳を吐き気の症状と誤解してしまうこともあります。

重症になると、発熱し呼吸が浅くなり、息切れや喘鳴(ぜんめい:ヒューヒューという呼吸音)が聞こえることもあります。
また、犬が運動を嫌がる、食欲不振、元気がなくなるといった症状が見られることもあります。

診断方法

犬の気管支炎の診断は、身体検査、レントゲン検査、気管支鏡検査など、複数の検査を組み合わせて行われます。
まず、身体検査では、飼い主様からの詳細な問診を行い、咳がどのくらいの頻度で起こるかどのくらい続いているか、またその他の症状について詳しく確認します。
その後、聴診器で肺の音を評価し、異常な呼吸音や咳の音から、気管支炎の可能性を第一に疑います。

次に、レントゲン検査を行います。気管支炎そのものは、レントゲン画像上で大きな異常が見られないことが多いですが、肺炎や肺水腫、心臓病などの他の病気と区別するために非常に有効です。他の呼吸器疾患の有無を確認することで、気管支炎である可能性を絞り込むことができます。

より正確な診断が必要な場合は、気管支鏡検査を行うことがあります。この検査では、全身麻酔をかけた後にカメラを気管支内に挿入し、気管支の内部を直接観察します。
気管支の炎症状態や異物の有無、粘液の状態を確認し、必要に応じて洗浄液や組織を採取して細菌培養病理検査を行います。これにより、感染症やアレルギーの有無が確認できます。

治療方法

犬の気管支炎の治療は、原因と症状に応じて行われます。
細菌感染が疑われる場合には抗生物質真菌感染が原因の場合には抗真菌薬を使用します。
アレルギー性が疑われる際には、少量のステロイド剤が有効です。また、慢性の気管支炎では気管支拡張剤(テオフィリン、テルブタリン)の継続使用も有効です。さらに咳がひどければ頓服薬として鎮咳薬(ブトルファノール、マロピタント)の使用も助けになります。

さらに、ネブライザー(蒸気吸入器)を使った吸入療法も効果的です。ネブライザーを使用することで、薬剤や湿気を直接気管支に届け、気管支の炎症を和らげ、粘液の排出を助けます。これらの治療を組み合わせることで、犬が呼吸しやすくなり、咳や炎症を効果的に抑えることができます。

予防法やご家庭での注意点

犬の気管支炎を予防するためには、まず環境を整えることが大切です。空気清浄機を使って空気を清潔に保つ、室内での喫煙を避けるなど、犬にとって健康的な環境を整えてあげることが大切です。

犬の咳は、人間の咳と異なり、「カッカッ」や「カハッカハッ」と吐くような様子が特徴的です。多くの飼い主様が、喉に何かが詰まって吐こうとしていると誤解することがありますが、実際には咳であることがよくあります。
そのため、普段から愛犬の様子を注意深く観察し、異変があれば早めに獣医師に相談しましょう。

■関連する病気はこちらで解説しています
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