ノミ・マダニ予防
春になると、動物病院のポスターやテレビCMで「ノミやマダニの予防をしましょう」という案内をよく見かけますよね。なぜ獣医師があれほど熱心にノミ・マダニ予防を勧めているのか、疑問に思ったことはありませんか?
その理由は、ノミ・マダニ予防は犬や猫の健康だけでなく、飼い主様の健康を守るためにもとても大切だからです。
このページでは、ノミ・マダニ予防の重要性について詳しく解説します。
ノミの唾液にはヒスタミンやタンパク質などのアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)がたくさん含まれています。
ノミが血を吸うときにその唾液が犬や猫の体内に入ると、免疫細胞がこのアレルゲンに対して過剰に反応し、強いアレルギー反応が起こることがあります。これをノミアレルギー性皮膚炎と呼びます。
ただし、ノミに刺されてもすべての犬や猫がこの皮膚炎を発症するわけではなく、症状が出ない場合や、わずかに痒みを感じる程度の場合もあります。
しかし頻繁にノミに刺されている場合や、アレルギー体質を持っている場合は、ノミアレルギー性皮膚炎を発症する確率が高くなります。強いノミアレルギー性皮膚炎では、強烈な皮膚の痒みを感じ、常に全身を掻きむしってしまいます。
また、ノミの唾液だけでなく、ノミの死骸を吸い込むことで喘息などの呼吸器系のアレルギー症状が出ることもあります。だからこそ、ノミの予防はとても大切です。
ノミは動物だけでなく人間も吸血しますので、家族全員の健康を守るためにも予防を心がけましょう。
マダニ(日本ではシュルツェマダニやフタトゲチマダニなど)は、主に河川敷や森林の草むらに多く生息し、動物の血を吸います。
マダニは体内に、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス、日本紅斑熱リケッチア、ボレリア属細菌(ライム病の原因細菌)、ダニ媒介脳炎ウイルスなどの危険な病原体を保有している場合があり、動物、人がマダニに刺されることでこれらの病原体に感染することがあります。
これらの病気はすべて人獣共通感染症(動物↔︎人の両方から互いに感染する)であり、ペットから飼い主様に感染することがあります。
特にSFTSウイルスによる重症熱性血小板減少症候群は、日本国内でも人の死亡例が多く報告されており、致死率は10〜30%と言われています。
また人獣共通感染症ではありませんが、マダニが媒介する犬の感染症に激しい貧血を引き起こすバベシア症があり注意が必要です。
日頃からマダニの駆虫を徹底することで、愛犬や愛猫だけでなく飼い主様も感染症に罹患するリスクも小さくなり、動物と人間の命を守ることに繋がります。
ノミは柔らかい土や草むらに生息しており、散歩の際などに愛犬や愛猫の体に付着して家の中へと入ってきます。
ノミの繁殖力は非常に高く、一度家の中で繁殖するとすべて駆虫するのは大変です。多くの場合は専門の業者に依頼しなければなりません。
そして、私たちが目で確認できるのはノミの成虫だけであり、実際には卵や幼虫、蛹が多く潜んでいます。だからこそ、ノミの予防を徹底して家に侵入させないことが大切です。
マダニも森林や川の周辺、茂みの多い公園などに多く生息しています。
シカやイノシシなどの野生動物に付着していることが多いため、阪神近辺であれば市街地よりも六甲山や箕面方面などの自然豊かな地域に、愛犬と出かける際は注意が必要です。
普段は草の裏に隠れていて、動物が近くを通ると体に付着します。
以上のことから、ノミ・マダニはほとんどの場合、愛犬や愛猫に付着して野外から持ち込まれるため、予防をしっかり行うことが重要です。
ノミやマダニは、定期的に予防薬を使うことで簡単に予防できます。
ノミ・マダニの予防薬にはいくつか種類がありますが、フィラリアとセットで予防できるオールインワンタイプがおすすめです。
犬と猫を同時に飼っている場合、犬が外からノミやマダニを持ち帰り、家猫にも感染することがよくあります。また、ベランダに野良猫がやってきてそこから感染することもあります。
予防薬を使うのはもちろん、猫は室内飼いを徹底し、野良猫と接触させないようにしましょう。
さらに、散歩やキャンプ、川遊びの後はシャンプーで全身を洗い流すなどの対策をして、愛犬や愛猫と飼い主様の健康を守りましょう。
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