前十字靭帯断裂

犬の前十字靭帯断裂について|愛犬が突然後足をかばう

前十字靭帯断裂は、骨折や膝蓋骨脱臼 (パテラ)と並んで犬の整形疾患を代表する病気です。
前十字靭帯とは膝の中に存在する主要な靭帯の一つで、後十字靭帯とともに膝の安定性や
スネの骨がズレないように動きを制限する役割を持ちます。
前十字靭帯が断裂すると、大腿骨に対して脛骨が前に飛び出してしまって膝の安定性が
失われてしまいます。

このページでは、犬の前十字靭帯断裂の原因や症状、診断方法、治療方法などについて詳しく解説します。

原因

犬の前十字靭帯断裂は人でよく見られる外傷性断裂とは異なり、多くが加齢や遺伝 (体質)によって前十字靭帯の柔軟性が失われることが原因で発症します。
日常の軽い運動中にも靭帯を損傷する場合があり、段差を上がる際や急な方向転換などで突然の靭帯断裂が発生し、犬が「キャン」と鳴き声を上げて片足を挙げてかばう様子が見られることがあります。

発症年齢は5〜7歳以降の中年齢での発症が目立ちますが、全ての年齢で発症する可能性があります。
前十字靭帯断裂が好発する犬種には、トイ・プードル、ヨークシャー・テリアなどが報告されています。

症状

前十字靭帯断裂には、靭帯の一部が切れる「部分断裂」と、完全に断裂する「完全断裂」の二種類があります。
診断された時点で部分断裂であっても、放置すると多くの場合、完全断裂へと進行してしまいます。

さらに、前十字靭帯が断裂する際には内側半月板も損傷することがあります。この半月板は大腿骨と脛骨の間でクッションの役割を果たしており、損傷すると関節炎を引き起こし、痛みを伴います。
前十字靭帯断裂の典型的な症状には以下のようなものがあります。

・運動時に突然「キャン」と鳴いて、足をかばう
・足を地面につけるのを嫌がり、踏ん張りがきかない
・座る時に後ろ足を曲げられずに、横に足を投げ出すように座る
・散歩に行きたがらない


特に小型犬の軽度の部分断裂では、無治療でも1〜2週間程度で症状が自然に改善することもありますが、このような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。

診断方法

ご家庭での様子や怪我をした時の状況、歩様検査、触診、レントゲン検査などを行い総合的に診断します。
触診で膝関節の安定性を評価します。前十字靱帯が断裂すると膝で脛の骨が前に滑ってしまう現象(ドローワー・サイン)が触知されます。また、レントゲン検査で前十字靭帯が断裂したことで脛骨が前に滑り出している様子や、膝の関節内に関節液が異常に貯留している様子(ファットパッドサイン)が見られれば、前十字靭帯断裂と診断できます。

治療方法

前十字靭帯断裂の治療には内科的な保存療法外科療法があります。
小型犬の場合は保存療法を行うこともありますが、先述のように部分断裂から完全断裂に
移行することがあるため、症状が長引くようであれば小型犬の場合でも手術を行います。

中型犬や大型犬においては、症状の早期改善のために、外科手術を早めに行うことが推奨されています。
保存療法としては、運動制限をして、痛み止め、関節軟骨関保護剤、サプリメントなどを処方します。

外科療法には、関節外制動法 (ラテラル・スーチャー法)、TPLO法 (脛骨高平部水平化骨切り術)、TTA法 (脛骨粗面前進化術)など様々な術式がありますが、当院では関節外制動法を採用しています。

関節外制動法は、膝関節の側面から大腿骨の種子骨と脛骨に、靭帯の代わりになる丈夫な糸を通して結び、膝関節を安定化させる術式です。
この方法の大きな利点は、骨を切る必要がなく低侵襲でリスクが低い、術後の回復が速い、手術自体も比較的簡便、費用を抑えられるところです。もちろん、効果も十分に認められている実績のある方法です。


【当院での手術費用について】
前十字靭帯断裂の手術費用は、165,000円(税込)となっております。

なお、症例の難易度や選択する術式によって費用が前後する場合がございますが、上記は標準的な目安となります。


手術・治療費の目安についてはこちら

治療の注意

どちらかの前十字靭帯を断裂した犬は、高い確率で反対側の足の前十字靭帯も断裂することが知られており注意が必要です。まれにほぼ同時期に両足の前十字靭帯が断裂することもあります。
さらに、前十字靭帯断裂では膝関節の軟骨がダメージを受けるため、関節炎の内科治療を同時並行に速やかに実施するのが望ましいです
普段から歩き方に異常がないか注意深く観察し、愛犬の歩き方に違和感があればすぐに獣医師に相談しましょう。

まとめ

犬の前十字靭帯断裂は適切な治療を行えば、元の生活に戻ることが可能です。しかし、治療をしないと半月板損傷や重度の関節炎を引き起こす可能性があるため、愛犬の行動や歩き方に少しでも異変を感じたら、早期に獣医師の診断を受けることが最も重要です。


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犬の膝蓋骨脱臼について|歩き方の異常がみられたらすぐに受診を
犬の橈尺骨骨折について|抱っこからの落下、飛び降りで多発する

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